「生かされているのだから」
しょうくんこうちゃん 福島県双葉町
「生かされているのだから」と気張ってみたものの、浮いたり沈んだりの10か月。その間私を支えたのは、今は離れてしまった福島の人の冷静さと温もりある想像力。 二人の幼子と三人で心許ない私を、さっと車に乗せて一緒に逃げてくれた。避難所で、大きな配給おにぎりをラップの上から小さく丸めて、興奮してお菓子しか食べてくれなくなった我が子の口に運んでくれた。 緊急時に不安を叫ぶのではなく、何をすべきかを、冷静かつ温かな想像力でもって考
えられる彼らに命を救ってもらった。 そして、何を言われても、愚痴を言うどころかむしろ嬉々として復旧の為、原発へ向かう夫。
何を恨んでも、後悔しても、最終的には意味がない。夫の背中から、自分の軸をぶらすことなく生きていれば必ず道は開けるということを悟った。 未曾有の危機に命とともに得た大きな気づきでもって、ずっと味方で寄り添ってくれた家族を守っていきたい。やはり、「生かされているのだから。」