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あの時3.11

引地しづ江  東京都板橋区

 前の年の4月に亡くなった主人の一周忌を一か月後に行うための日々を送っていた。いつもは、地震があってもあまり感じない家でしたが、初めての大きな揺れと、役場からの無線での「津波が来ます」・・・60年以上生きていて「津波」は初めてのことでした。
私の実家は広野の町なかですが、海とは地続きのようなところです。それも頭をよぎりましたが、それどころではなく、今私は、この家の下敷きになって一人死ぬしかないのかと心の中で主人に、「助けて、お父さん私を助けてください」何度も心の中でとなえていました。隣に家もなく、山沿いの一軒家で、主人亡き後、一人今恐怖の中で、こんなことになるなら、この家で主人と二人もう少し生活してみたかった。主人との思い出が頭の中で絵のように出てきました。数ヶ月たって今私は、東京で一人生活をしています。いつまで入れるか、今は、その方が心配です。


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